息子の死を受け入れる
遺品整理の業務で鳥肌が立つような事件が起きた事があるのですが、それは閑散とした住宅の一角にそびえ立つ30階建のマンションの最上階に住んでいる人で、私の会社に遺品整理の作業を依頼してきたのは、亡くなられた方の義理の兄弟でして、45歳くらいの真面目そうな人で、とても虚しさと驚きを滲ませているようでした。
基本的に変死の現場では、事件性がない限りほとんど自殺や孤独死なのですが、今回依頼を受けた現場は変死体だったわけですが、その家には母親と息子の2人暮らしをしている一家で、亡くなったのは息子さんの方でして、お風呂場のお湯が浸かっている浴槽の中で死んでいるのを1週間前に発見されたという状況でした。
皆さんは、このような話を聞いたら何故そうなったのかと疑問に思いますよね。
私も初めて亡くなられた状況を伺ったときは整理がつかないくらい意味がわかりませんでしたが、どうやら母親は進行の激しい痴呆症にかかっており、一人だけでは日常生活が送れないくらいまでになっていたので、息子がいなければ食事をすることも、お風呂に入ることも出来ない状態だったわけです。
生きていくための命綱ともいえる息子さんが、お風呂場で亡くなられたということは、きっと母親は理解することが出来ないばかりか、その事すら分かってないかもしれません。
息子さんが倒れてからの1週間は何も飲まずにいたので、息子さんが亡くなって母親を発見たときには、衰弱状態で死にそうな状態にあったと言われています。
遺品整理には、人間における全ての感情が集約されているいのです。遺品整理
確実に老いていく私たち
異変に気がついたのは近所に住まわれている方で、1週間もの間、2人を見かけることがなかったので、不審に思った住人が警察に通報して、そこで初めて発見されることになったわけですが、住民の人が気付かなければ、1週間では済まなかったのだろうと思うと、一体どうなっていたのだろうかと、恐ろしくなります。
住民の方が気付いてくれたおかげで、母親の方は何とか一命を取り留めたのですが、病院にいるため会うことはありませんでした。
このような遺品整理の現場に出くわすことも珍しくはなく、今回の依頼者となった兄弟の男性は、15年も疎遠にしていたために、悲惨な生活を目の当たりにして衝撃を隠すことはできい感じでしたが、遺品整理の業務を完了したころには、母親の今後の生活について市役所と親身になって対策を考えていました。
常識的に、50歳近くになると親よりも子供の方が先に亡くなるという場合は少なくありませんし、今回のケースは、親が元気であれば避けることのできた事態ですが、これからは、このような老々介護ならではの悲劇が、ますます引き起こされることは言うまでもありませんので、近い将来を見据えて対処法を考案しなくてはなりません。
確実に自分自身が老いていくのですから、まだ若いあなたもいつかはこの問題に立ち向かう時が来ることを認識して、どのように対処していくかを考えてみましょう。